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ペルシャ猫の謎 (有栖川有栖)

書籍情報

著者 : 有栖川有栖
発行元 : 講談社
単行本発行 : 1999.5
文庫版発行 : 2002.6

エラリー・クイーンのひそみに倣った「国名シリーズ」第五作品集。

収録作品

  1. 切り裂きジャックを待ちながら
  2. わらう月
  3. 暗号を撒く男
  4. 赤い帽子
  5. 悲劇的
  6. ペルシャ猫の謎
  7. 猫と雨と助教授と

こんな人にお薦め

  • ちょっと変わった有栖川作品を読みたいあなた
  • 幻想的、不条理な気分のあなた
  • 火村先生に激萌えしたいあなた

あらすじ

1. 切り裂きジャックを待ちながら

ある劇団員から相談を受けたアリスが観たビデオには、その劇団の看板女優が椅子に縛り付けられて、劇団が身代金を支払ってくれるように懇願するシーンが写っていた。大事な公演を前にした劇団に送られてきたものだ。

しかし、その身代金の支払期限が近づく中、強引にゲネプロが始まったとき、悲劇は起こった。セットのクリスマスツリーに、誘拐されていたはずの女優が殺害された上で吊るされていたのだ……。

2. わらう月

小さい頃から月が怖かった女性。

彼女がボーイフレンドと一緒に浜辺で撮った写真のバックには美しい月が映っていた……。

3. 暗号を撒く男

殺された男は親譲りの家こそ持っているが、独身でひそかに結婚を切望する普通の男であった。しかしその家には普通とは思えない暗号めいたさまざまな品物が置かれていた。火村を落ち込ませたというこの謎の正体はいったい……。

4. 赤い帽子

水死体として発見された男は音楽家だった? 人の目を引く赤い帽子を生前かぶっていたらしいその男が死ぬ前にしゃべっていた言葉の中に「ビオラ」という言葉が入っていたとの証言が得られたのだが。

いつも脇役として火村の推理を聴いているだけの森下刑事が刑事らしい地道な捜査で犯人を追い詰める。

5. 悲劇的

アリスはふと立ち寄った火村の研究室で、ある学生が提出したひとつの――本来の課題の主題から完全に逸脱しいる――レポートを見せられた。それは身近に起こった犯罪を憎み、犯罪の起こる世の中を憎み、神をも憎む壮大なアンチテーゼ――学生らしいといえば学生らしいが――であった。それに対する火村の答えとは?

6. ペルシャ猫の謎

表題作。溺愛するペルシャ猫は、彼を見捨てて去っていった恋人の忘れ形見だった。そんな彼がある日、家の中で襲われたが、朦朧とした意識の中で見たものは商売上金に困っている双子の兄弟だった。しかし彼には鉄壁のアリバイが……。

7. 猫と雨と助教授と

火村のとある日常風景。

 

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書評

1.切り裂きジャックを待ちながら

読売テレビの「真冬の夜のミステリー」の中で放映されたものをノベライスしたものだけあって、冒頭の脅迫ビデオのシーンといい、巨大なクリスマスツリーのセットに吊り下げられた死体といい、映像として目を引きそうな演出が用いられています。また、犯人のアリバイを崩すポイントとなった部分は、直接見えない部分の矛盾を暴くスタイルとなっており、火村先生の観察力に脱帽させられました……が……、犯人の動機が多少無理やりな感じがしてしまいました。また悪いことに、動機がしっくり来ないと、なぜこのような犯行方法をとったのか、という犯罪計画の根本にある部分までが嘘っぽくなってしまったように感じました。

でも、読んでいて、素直に楽しめる作品であることには違いないです。

2. わらう月

火村・アリスコンビが登場するパターンにしては珍しく、三人称視点で語られています。トリックなどは全くもって現実的であるのですが、月のイメージが密接に絡みつく物語の流れはある意味幻想的で、これは月を畏怖する女性の視点で語ることでその雰囲気がより一層引き立っていると思います。

3. 暗号を撒く男

これは……短編集でないと許されない結末ですな。なおかつ有栖川先生がこの話を串カツをぱくつきながらの話題として書かれているのも、あまり構えすぎて考えない方がよい、と暗にご忠告くださっているのだという気がしてなりません。

4. 赤い帽子

この作品も有栖川先生があとがきで語られるように、異色作です。

大阪府警の社内雑誌?に連載されたもののようです。それだけに主役は過去にもよく登場している森下刑事となっています。アルマーニの刑事といったほうがわかる人は多いかもしれません。で、今回は火村・アリスコンビは登場しないのですが、正直ちょっと残念でした。物語自体は森下刑事達の地道な捜査風景が描かれていて、いつもと違う雰囲気は楽しめたのでよろしいのですが、やはり国名シリーズ中の短編ですから、ほんの端役でも良いのでご出演いただきたかったところです。

あと、終わり方はちょっと……。あれが文学的な手法というものかもしれませんが、やはり読者側も「ミステリ」を読んでいる意識を持っている以上、無理矢理でも不条理でも何でも良いから「結末」というものを欲している方が多いのではないかと思うのですが。特に今回はめったに活躍の場がない森下刑事の晴れ舞台でしたので、なおさらきちんと事件の終わりまで見届けたかった気がします。

5. 悲劇的

これはちょっと感想の書きようがありませんね。でも、火村先生。ああいうタイプの学生さんにああいうこと言ってしまったら、より一層悲劇的な結末が到来してしまいそうでコワイです。

6. ペルシャ猫の謎

これは……短編集でないと許されない結末ですな。(二回目)
度量の広い人なら笑って許せるかもしれません。私は有栖川先生のファンなので何でも肯定的に捉えてしまう結果、許してしまいましたが、少なくとも推理小説ではないですね。けなしているわけではありません。純粋に、

「これは推理小説じゃないよね」

と思ってしまう内容な訳です。

ただ、本格推理小説家たる有栖川先生のかなり中心的なシリーズだと言える国名シリーズの表題作ですので、ちょっと問題があるような……。

7. 猫と雨と助教授と

火村先生ファンの方は必見です。

反則です。

さすが推理小説界のキャラ萌え作家の頂点!

総括

有栖川先生のほかの作品をきちんと読んでいる方であれば、イレギュラー的な作品群として受け入れることはできるかもしれません。

私自身も結構好きです。
しかし知人に有栖川先生のことを紹介するのにこの作品はお勧めできません。

それにしても心配なのは、この本が「国名シリーズ」のひとつとして出版されていることです。人によっては有栖川先生という新本格派の中核をなす作家を知るための入門編として選んでしまうこともあるでしょう。その場合、本来の先生の魅力が伝わる確率はかなり低いと言わざるを得ません。

その意味で首を傾げてしまう本ではあるのですが、短編集ですから本来はお遊び的な作品や、実験的な作品も歓迎されるべきだと思いますし、実際楽しい物語が多かったですので、単なる短編集としてであればなかなかの良作であると思います。

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