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空飛ぶ馬 (北村薫)

書籍情報

著者 : 北村薫
発行元 : 東京創元社
単行本発行 : 1989.3
文庫版発行 : 1994.3

落語家「春桜亭円紫(しゅんおうてい えんし)」師匠と女子大生の「私」の交流のなかで、様々な日常の謎がほぐされてゆくシリーズ第一作にして、北村先生のデビュー作。
単行本は「鮎川哲也と十三の謎」の一冊として刊行されている。

掲載作品

  1. 織部の霊
  2. 砂糖合戦
  3. 胡桃の中の鳥
  4. 赤頭巾
  5. 空飛ぶ馬

こんな人にお薦め

  • 「日常の謎」系統が好きなあなた
  • ほっとひと息気分なあなた

あらすじ

1. 織部の霊

「私」と円紫師匠が、大学の加茂先生を通じて知り合うきっかけを、加茂先生が幼い頃見た「見るはずのない夢」についての謎解きを通じて描かれます。

2. 砂糖合戦

喫茶店の隅の席で陰気に座る若い三人の女性は、なぜみんな揃って大量の砂糖を注文した紅茶に入れたのか?

3.胡桃の中の鳥

山形県は蔵王まで、友人である正(しょう)ちゃん、江美ちゃんと共に、円紫師匠の独演会にやってきた「私」
そこで出会った、小さな女の子と、シートカバーを外されてしまった江美ちゃんの車の謎とは?

4. 赤頭巾

ある絵本作家の家の近所の公園に、毎週日曜日、夜になると出没する女の子。
彼女はいつも、何か赤いものを身につけていることから「赤頭巾」と呼ばれていたが……。絵本作家の女性が書いた「赤すきん」と外に立つ「赤頭巾」との関係とは?

5. 空飛ぶ馬

クリスマスが近づいていたある日、幼稚園に贈られて来た木馬。
しかし木馬はその晩、幼稚園から消えていた。にもかかわらず次の朝にはきちんと園に戻ってきていた木馬は、空を飛んだのか?

 

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書評

日常の謎解きをオカズにして、「私」の心を描く短編集

北村薫先生のデビュー作です。
短編集ですが、一冊を通じて時がつながっている、連作短編集的な構成になっています。
「私」と円紫師匠の出会いから始まり、二人の関係が心易いものになって行く過程を描く2編、そして「私」の心の機微に焦点を当てたラスト2編。淡々と、「私」の時の流れを描いています。

最初の2編は、「私」の周りの主な登場人物は、初老の大学の先生と、(イメージは若々しいですが)おじさん年代の落語家の円紫師匠。ですから「私」はちょっと古風ではあるけれど「普通の若い女性」とイメージが先に立っていました。

ここに三作目の「胡桃の中の鳥」で、友達の江美ちゃんと正ちゃんを登場させ、「私」との対比的な描写がなされることで、よりイメージがふくらみ、後半で彼女の心の微妙なところが描かれるときに、すんなり彼女の気持ちを感じることが出来たように思います。

ミステリーとしては、ちょっと強引さも感じさせます。
謎としては短編らしい面白い趣向のものが揃っているのですが、円紫師匠が謎を解く過程がちょっと強引に感じられたものもあったということです。

また、日常のシーンがちょっと冗長すぎるように感じられた作品も多かったように思います。もちろんこれは「ミステリである」という前提で考えたときに、そのミステリとしての骨格が比較的小さい骨組みな割に、日常という肉付けが多すぎて……ということですので、逆にミステリ部分が物語を盛り上げるためのおかずであって、あくまでも「私」の日常を描く私小説なのだ、と考えれば「欠点」とは呼べなくなるとも思うのですが。

ちなみにこの作品発表当時、北村先生が完全に覆面作家として活動されていたので、作者は「私」のような若い女性だと考えていた人も多かったということで、確かに女性の日常にあるちょっとした描写がそう感じさせるのかな、とは思うのですが、わたしにはやはり「男性が描く女性像」に見えてしまいます。なぜなら人物描写だけをいっているのではなく、その取り巻く環境も含めて「男性が安心してみていられる」状況のように思うからです。

真面目で、化粧っ気がなくて、目立ちたがりではないけれど聡明で、ちょっと古風。そして、周りに読者を差し置いて彼女をたぶらかそうとする若い男の存在は皆無なのは基本です。

ただ、誤解のないように。
これはこの作品を批判するつもりで言っていることではありません。
だって、このくらいの方が安心して読めますし、何でもかんでもリアルに書けば良いというものではないと思いますから。
書評などで「女性が描けている」といった評判をよく拝見していたので、どちらかというとその見方に対する疑問と言ったところでしょうか?

う~ん。
でもちょっと言い過ぎかな?
やはり、心理描写などはなかなか女性的な視点で描けていると感じます。流石だなぁと思います。単に設定が男性好みだなぁと思うだけで。
うん。
心理描写という点に限って言えば、女性が書いたと言われても確かに納得ですね。
まとまりのない文章になっていますが、これを書きながら気付いたこともあるので、あえて訂正はしない方向で。

私は北村先生の作品は正味初めてです。
とにかく続きも読みたいと感じたことは、紛れもなく事実です。
楽しみです。

 

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