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過ぎ行く風はみどり色 (倉知淳)

書籍情報

著者 : 倉知淳
発行元 : 東京創元社
単行本発行 : 1995.6
文庫版発行 : 2003.7

猫丸先輩シリーズ第2作にして、現在唯一の長編作品。

こんな人にお薦め

  • 猫丸先輩ファンなあなた

あらすじ

以下文庫版裏表紙より引用

亡き妻に謝罪したい――引退した不動産業者・方城兵馬の願いを叶えるため、長男の直嗣が連れてきたのは霊媒だった。
インチキを暴こうとする超常現象の研究者までが方城家を訪れ騒然とする中、密室状況下で兵馬が撲殺される。
霊媒は悪霊の仕業と主張、かくて行なわれた調伏のための降霊会で第二の惨劇が勃発する。

名探偵・猫丸先輩が全ての謎を解き明かす、本格探偵小説の雄編。

 

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書評

やっぱり猫丸先輩は偉大です

倉知先生の書く探偵の代表格、猫丸先輩シリーズ初の長編です。

どちらかというと「日常の謎」系のイメージがある猫丸先輩シリーズですが、この作品は屋敷内で起こる不可能殺人を扱う王道的なミステリとなっています。

誰も近寄れなかったはずの離れで殺された屋敷の主人。
関係者全員が一同に会し、全員が手をつないで輪になっている最中に起こった、恒例会を主催する怪しげな霊媒師の殺人。
事件の結末が見えてきたところで起こる最後の殺人。

前作「日曜の夜はでたくない」でそれなりの評価を得た猫丸先輩というキャラクターを一人前の探偵にすべく、気合いを入れて練られた作品であるように感じました。

というわけで、なかなか分量的にも充分な本作なのですが、事件の経過が非常に丁寧に書かれているため、猫丸先輩が本格的に活躍を始めるのは物語の中盤以降です。
それも中盤以降といっても、そもそも分量が多いので(文庫版で600ページ弱)、下手すれば普通の長編作品が終わっているくらいのところです。

もっともそういう構成のミステリは珍しくないのですが、猫丸先輩のキャラクター自体がシリーズの大きな魅力ですので、正直なところ前半は少々退屈でした。
いろんな仕掛けを施すために色々と丁寧な描写が必要になったということは、最後まで読めば理解できるのですが、もう少し簡潔にすることもできたように思います。

しかし、その退屈さも、後半猫丸先輩が登場するや、一気に吹き飛びます!

もちろん事件が解決へ向けて動き始めるからこその盛り上がりもあるのですが、やはり猫丸先輩のキャラクターです。
イタズラ猫を彷彿とさせる外見と傍若無人さを持ちながら、口調はなんだかおっさん臭い。
そんな猫丸先輩だからこそ、マイペースでどんどん事件を仕切ってしまいます。
読者もそのペースに乗せられて、いいスピード感を感じることができます。
やっぱりこのシリーズは猫丸先輩が出てきてなんぼだなぁとつくづく思ってしまいます。
言い換えれば、今回のように猫丸先輩がなかなか活躍できない構成の長編であれば、猫丸先輩の脇を固めるキャラクターにもう少し魅力がないとしんどいかな?

謎解きは、なかなか細かい伏線を丁寧に回収しながらの丁寧なものもあれば、トリック一発勝負的なものもあり、叙述トリックみたいなのもあり、そしてラストには当然どんでん返しも用意されており、素直に楽しむことができました。

まあ、それでもやっぱり猫丸先輩には短編集で、縦横無尽に活躍していただく方が楽しめる感じはするわけですが。


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