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千葉千波の事件日記 パズル自由自在 (高田崇史)

書籍情報

著者 : 高田崇史
発行元 : 講談社
新書本発行 : 2005.3
文庫版発行 : 2008.7

浪人生コンビ、通称「八丁堀」と「饗庭慎之介」、そして大金持ちで美形の高校生「千葉千波」がパズルのように謎を解く、千葉千波の事件日誌シリーズ第4弾。

収録作品

  1. 桜三月三本道
  2. 迷路な二人
  3. 徒競走協奏曲
  4. 似ているポニーテイル
  5. ゲーム・イン・ゲーム
  6. 直前必勝チャート式誘拐

こんな人にお薦め

  • 前作までを読んだあなた
  • 分かり易い設定で気軽に楽しみたいあなた
  • ぴいくんの名前の謎を真剣に考えたいあなた

あらすじ

文庫本裏表紙より引用

これは、論理パズルでデコレーションした本格ミステリか、それとも本格ミステリの仮面を剥ぎ取った論理パズルか?
天才高校生・千波くん、平凡浪人生・ぴいくんたちと一緒に、筋道だったチャーミングでエレガントでスプレンディッドな謎解きを、ご堪能あれ!

やみつきになること間違いなし。本当だよ。

 

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書評

この書評をご覧いただく前に、シリーズ第一作「千葉千波の事件日記 試験に出るパズル」の書評をご覧いただくとよいと思います。シリーズ全体についての解説的内容になっていますので。

今作は、前作で一月まで描かれた、ぴいくんたちの浪人生活の終わりを告げる作品……ではありません。
ぴいくんの高校時代から、浪人生活一年目のセンター試験間近までの中からいろんな時点の物語が書かれています。

今作は、前作「千葉千波の事件日記 試験に出ないパズル」までに比べて、本編のパズルっぽさがかなり低く抑えられているように感じます。最初の「桜三月三本道」くらいでしょうか?

いつもなら最後にもう一つ強烈なパズルっぽい作品が来るのですが、今回のラストである「直前必勝チャート式誘拐」に関しては、パズルではあるものの、どちらかというと、ぴいくんが好きなタイプのパズルっぽい、要するに論理パズル系のものではありませんでした。

また、いつも間に挟まれる普通の推理小説的物語は三つであったのに対して、今回はそれが四つだったことも、パズルっぽいイメージが低かった原因でしょう。

しかし、今回は、本当にキャラが活き活きしていました。
当初、「いつも静かに微笑んで」系だったはずの千波くんもだいぶん自己主張するようになってきました。
また、今作ではぴいくんの妹のチョコちゃんが大活躍。6編中4編で中心的役割を担います。千波くんの身体が心配です。

が、その中でも異彩を放つのがぴいくんです。

確かはじめの頃は、あまりぱっとしないし、理屈っぽいけれど、それでも普通の少年だったような気がするのですが。
キャラが立ちまくりです。

ほとんど変質者です。

チョコちゃんが目の前で殺人を犯しても、にこにこしながら「かわいいなぁ」とか言ってそうな、極度のシスコンに加えて、ロリコン的趣味も全開になってきました。
また、今までも語られてきた服装のセンスの悪さも、具体的に記述されるようになり、本当にセンス悪かったんだということを再認識いたしました。(例:リオのカーニヴァル民芸品センターで売ってそうな、金箔入り寄せ鍋のような色合いのセーター。手の甲にイグアナの刺繍が付いている、澄んだエメラルドグリーンの毛糸の手袋)
大阪のおばちゃんだ……。

そして極めつけは、その体型。
「直前必勝チャート式誘拐」でぴいくんが語るところによると「トイレの窓にお腹が引っかかって逃げられなかっただろうけれど」とのこと。もちろん窓は小さかったと思うのですが、普通「お腹がつっかえて」という連想をするには、かなりの堂々たるお腹が必要だと思われるのですが、いかがでしょう?
まだ十代なのに……。

大学に入れるかどうかというのとは、また別の意味で、ぴいくんの将来が心配になりました。
とりあえず、原作に忠実にアニメ化するのは難しそうです。

総合的には、シリーズ中最も楽しく読めた一冊です。
キャラが高田先生の決めた枠組みの中から独り立ちを始めた感じです。
作品中にちりばめられたパズルも、ちょっとしたとんち問題みたいなものから、論理パズル的なものまで、種類も難易度もほどよく散らばっていて、飽きずに楽しめましたし。

また、このシリーズ全体に横たわる「ぴいくんの本名」の謎も、私のような凡人でも推理できるレベルのヒントがこの本でたくさん出てきました。

ぴいくんと慎之介の受験がうまくいけば、このシリーズはどうなるのでしょう?
慎之介の第一志望は「某私大文学部のミステリー研究会」だということなので、その辺を絡めた新たな展開も期待できそうです。

とにかくまだまだ続いて欲しいシリーズです。

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